空蝉 [書道]
蝉の脱け殻がぶらさがっておりました
空蝉ともいいます 捨衣とも
なつかしやゆかしや蝉の捨衣 の一茶の句があります
「うつせみ」は元来 この世に生きている身体の意であるが
万葉集に「空蝉」 「虚蝉」の宛字が用いられたことから
蝉の意になった とか
先日 昔の本の作り方で糸とじになっている帖に
源氏物語の54帖のなかに書かれてある歌 1帖に1首づつ
54首の歌を書きました
源氏物語の第3帖に空蝉という帖があり
その中にある歌を書いてみました
うつせみの羽に置く露の木隠れて忍び忍びに濡るる袖かな
蝉の羽に置く露が木の間がくれに見えないように 人目に隠れて
ひっそり涙に濡れる私の袖でございます
現代の仮名文字をつかって
平安時代の古典仮名をつかって 同じ歌を
源氏物語の歌にはこの紙は似合いませんが
歌が伊勢集にあり 伊勢集は破り継ぎという
豪華な工芸的な和紙に書かれています
それに似た紙に書きました
平安時代の古典仮名は、全く読めないのですが、こちらの方が、
ずっと素敵に思います。平安時代の王朝文化の雰囲気がありますね。
前にコメントさせていただきましたが、古典仮名での作品を掲載されて、
活字で「歌」を書いていただければ、意味も理解出来て、古典仮名の
素晴らしい作品も拝見できるのですが。
by INOUE (2005-08-09 21:01)
文字によって、紙も変えていらっしゃるのですね。墨の濃さから書体までも違うのですね。読めないのですが、古典かな素敵だなあと思います。
by penpen (2005-08-09 23:22)
INOUE さま ありがとうございます クラシックな仮名作品をブログで発表する場合は いい歌 いい素材が大事ですね しかし啄木や 牧水などの歌を 古典仮名で書いてもピッタリしませんし 古典仮名をつかって やさしく わかり易く 品よく しかも興味を持っていただけるような作品づくりは 至難のわざです INOUEさまのように みてくださって 大変うれしいです
by さねさし (2005-08-10 22:15)
penpen さま 大変うれしいお言葉 ありがとうございます
言葉によって 紙も 書風も 墨色も 筆も 大きさも 変わってくるのです
それを考えるのが 楽しいのですが 成功するのは何百枚の一点かもしれません
by さねさし (2005-08-10 22:21)
「空蝉」という言葉の響きがいいですね。
僕も、セミの羽化が終わる頃、「空蝉」というタイトルで記事を書こうと思っていました。
平安時代の仮名は、伊勢物語の影印本で、読み方を少し独習しました。
なかなか読めませんが、とても綺麗ですね!
by albireo (2005-08-10 23:28)