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第62回毎日書道展  [書道]

東京新美術館で 第62回毎日書道展開催中

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  会場風景

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今年の特別展示は 「松井如流先生の書・学一如の生涯」

漢隷の作品 大字書 のほか自詠の短歌の作品が数点

 「おほ松の木立の中の白き道蝶の一つとなりゆきたし」

 「いくたびの雲かがやけるゆうまぐれあすへの生きをわれに信ぜん」

短歌の本を出されていたことは知らなかったもので 展示本の中の短歌を

読むのも愉しいひと時でした

なによりも興味深く拝見したのは

 川端康成 上田桑鳩などの書簡 

また安藤聖空 田中塊堂 堂本印象 宮柊二

窪田空穂  小杉放庵 熊谷恒子 東山魁夷 ・・・・・

の方々の「はがき」や「封筒の表や裏書」の住所名前の文字に

惹かれました

 

 

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今回の私の作品 

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「平安の式部源氏に書かれゐし仮名文字のおもひ今も変らず」 さねさし

 

1000年も前に書かれた源氏物語の中に 文字や 手(書)に対する紫式部の

考えが 「梅が枝」や「帚木」などに書かれています

上の写真 模様のように見えるところは 「帚木」に書かれている箇所を

書いてみました

言葉は 右上から 書き出し 左へ つづいて 下部右から左へと書き進んでいます

「手を書きたるにも 深きことはなくて ここかしこの 点長にはしり書き そこはかとなくけしきばめるは うち見るに かどかどしくけしきだちたれど なほまことの筋をこまやかに書きえたるは うはべの筆消えてみゆれど 今ひとたび取りならべて見れば なほ実になむよりける はかなきことだにかくこそはべれ まして人の心の 時にあたりてけしきばめらむ 見る目の情をば え頼むまじく思うたまへ得てはべる  源氏物語 帚木より」

と書いてあります

意味は 

「 字を書くにしましても 深い素養はなくて あちらこちら 点を長く引っ張って走り書きし どことなく気取っているようなのは ちょっと見ると 才気があっておもしろそうだけれども やはり本格的な筆法がしっかり書けているのは うわべはぱっとしないようでも もう一度両方を比べてみるとやはり実力のあるものはすぐれています ちょっとした趣味上のことでもこんなふうなのです まして 人の心はその場その場のおもわせぶりな目先だけの愛情を頼りにはできまいとわかりましてございます」

  (源氏物語評釈 玉上琢弥氏 解説から引用させていただきました)

 

 昔紙が貴重だったころ 写経などを書いた裏や また一枚の紙に書いているうちに次々と書きたいことを余白に書きこんでいった 仮名消息という形に書いてみました

源氏物語には紫式部の かな文字や紙 墨の色 筆の遊(すさ)びなど

書に関する思い・考えが随所に書かれています 

その考えは 私が仮名書道に対する思いとまったく同じ思いのところが多々あって 式部はもう千年も前から現代の書に通じることを書いていられることに感動しました 

というより 平安時代の紫式部の考えが細々と今も受け継がれているといったほうがよいでしょうか

 

 

 


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