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稽古照今 [かな書を楽しむ]

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 先日 NHKの夕方の放送 悩み相談の渋護寺の番組で 僧侶釈撤宗さんの お話に 


「古事記に出ている稽古照今」という言葉を夕仕度中耳にし、調べてみました。


 稽古照今 とは


昭和33年 岩波書店発行の 日本古典文学大系1 古事記 祝詞 では


 古事記 上巻の序に


原文は 漢字ばかりでかかれています。


「雖歩驟各異 文質不同、莫不稽古以縄風猷於既頽、照今以補典教於欲絶。」


 「歩驟各異に、文質同じからずとも雖も、古を鑑へて風猷を既に頽れたるに縄し、


  今に照らして典教を絶えむとするに補はずということ莫し。」


 (ほしうおのおのことに、ぶんしつおなじからずといへども、いにしへをかむがへて ふう いうをすでにすたれたるにただし、いまにてらして てんけうをたえむとするにおぎなはずといふことなし。)


 意味は 古を稽みて、今を照らす(いにしえをかんがみて 今を照らす)


 かな書を楽しむ私たちにとっての 稽古照今とは


日本には素晴らしい古筆とよばれる平安時代に書かれた古今和歌集が書かれた 国宝の古今和歌集(元永本) 高野切れ、寸松庵色紙、継色紙 関戸本などの肉筆がたくさん残っています。


これら博物館や美術館などで展示されているときに、古筆の本物を鑑賞したり、また平安朝かな名籍選集などを観ながら臨書したりして学んだりしながら それらを今現代における書作品に生かし、 心に響く美しい言葉を 品格高く、余情ある感動をよぶ作品などを目指し、心をも照らすよい書を書くための 稽古と解釈しております。


現代の展覧会壁面大字作品は 漢字かな交じりの書作品でも デフォメル化されすぎて読めないような作品が多く、書かれた言葉の内容を読み解くことすらできない作品に悩んでしまうことがあります。これからの現代の書、未来の書とは?と模索しております。


現在


 東京世田谷の 五島美術館で 2020年11月29日まで


平安の書画 古筆の絵巻‣歌仙絵 開催中です ↓


 五島美術館 https://www.gotoh-museum.or.jp/event/open/


 東京国立博物館では


古筆の展示中です


https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2050


書と紙ー平安時代の美しい料紙ー


本館 特別1  2020924日(木)  20201123日(月)


  国立博物館の


オンラインギャラリートーク  平安時代の書と紙 


↓をクリックして



 ぜひ ご覧になってください


 稽古照今 から


利休の百首のなかの


「稽古とは 一から出でて十を知る 十から またその一 」この言葉を連想しました。


良寛の歌 貞心尼の返歌に 「つきてみよ一二三四五六七八九の十十とおさめてまた始まるを」という歌へと連想しました。


↓は 深み行く秋の日の稽古日、思い思いの会員の稽古作品です


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毎日新聞 11月15日の朝刊に 九州国立博物館長の 島谷弘幸氏 記事


「書の楽しみ」に 造形美について書かれていました。 紹介させていただきます。


 「前回のこの欄では、書は調和が一番大切であると説いた。次に肝要なのは、造形である。その書への感性や技術を磨くためには,先人たちによって作りだされた古典の学書が必要である。このため、書を目指す古今の人々は、ひたすら古典と呼ばれる名筆や好みの作品の臨書を繰り返す。書の美を鑑賞する人においても、美しい書、好きな書を探すには、自らの好みに加えて、伝世の最大公約数ともいえる古典を見ることをお薦めしたい。書かなくても見るだけで、書は上達する。眼習いである。ゴルフでも、テニスでも、我流では上達は望めない。いわゆるイメージトレーニングが重要なのである。・・・・・・」


 



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