蝉の脱け殻がぶらさがっておりました
空蝉ともいいます 捨衣とも
なつかしやゆかしや蝉の捨衣 の一茶の句があります
「うつせみ」は元来 この世に生きている身体の意であるが
万葉集に「空蝉」 「虚蝉」の宛字が用いられたことから
蝉の意になった とか
先日 昔の本の作り方で糸とじになっている帖に
源氏物語の54帖のなかに書かれてある歌 1帖に1首づつ
54首の歌を書きました
源氏物語の第3帖に空蝉という帖があり
その中にある歌を書いてみました
うつせみの羽に置く露の木隠れて忍び忍びに濡るる袖かな
蝉の羽に置く露が木の間がくれに見えないように 人目に隠れて
ひっそり涙に濡れる私の袖でございます
現代の仮名文字をつかって
平安時代の古典仮名をつかって 同じ歌を
源氏物語の歌にはこの紙は似合いませんが
歌が伊勢集にあり 伊勢集は破り継ぎという
豪華な工芸的な和紙に書かれています
それに似た紙に書きました